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The Institute of Statistical Mathematics, Tokyo, Japan

研究

研究紹介

「1960年代の薬害事件で有名なサリドマイドががんの治療薬として有効であることがわかった」「大気中のPM2.5の濃度が高くなると、心筋梗塞の発生率が高くなる」「イソジンでのうがいに風邪の予防効果はない」「最新のAI技術によって、専門医と同等の水準での疾患の画像診断が可能となった」

人を対象とした臨床研究・疫学研究から得られるデータは、本質的にばらつきや不確実性を含むものであり、これらの科学的仮説に対して正しい答えを得るためには、統計的な評価が不可欠です.加えて、これらの研究には、欠測や測定誤差(バイアス)、交絡、治療の不遵守などさまざまなバイアスが入ります。

医療統計学(Biostatistics, Medical Statistics)は、これらのバイアスを防止するための研究デザインや統計解析の方法をはじめとして、科学的な評価を行うための方法論を提供する学問です.海外では、医学研究の発展を支える基盤として、早くからその役割は重要視されており、多くの大学の公衆衛生大学院(School of Public Health)に、基幹部門として医療統計学部門(Department of Biostatistics)が設置されています.また、今日、臨床医学系の一流学術誌は、どこも統計レビューボードを設けるようになっており、統計専門家による論文査読が行われることも一般的となっています.近年の科学的根拠に基づく医療(Evidence-Based Medicine)の振興とともに、その役割はますます重要となっており、適切な経験と専門性を持った統計家による研究の支援が重要なものとなっています。

昨今の先端科学技術の革新を受けて、データサイエンスは、各国の盛衰にも関わる重要な技術となっています。次世代に豊かな社会を継承するために、我が国からも、国際的にトップレベルの研究開発を進めていくことが極めて重要な局面となっています。統計数理研究所の我々の研究グループでは、国内外の先進的な研究グループと協同し、医療統計学・臨床医学の国際一流誌に多くの研究成果を発表しており、その中には、Clarivate Top Papersにレイティングされた論文も多くあります. 共同研究のご依頼、大学院への進学希望など、ご関心のある方は、お気軽にご連絡ください。

  • 総合研究大学院大学先端学術院では、5年一貫性の博士課程と後期3年の博士課程で、博士(統計科学)、博士(学術)の学位を取得することができます.国内最大規模の統計科学の蔵書と、スーパ―コンピュータシステムを含む充実した計算機環境を利用した研究を行うことができます.修了生のキャリアパス(アカデミックポジションや企業への就職等)も充実しています.随時、進学相談や見学等、受け付けております。

過去の修了生の実績

研究室では、2016年の研究室開設以来、多くの大学院生を受け入れています。全員が希望する学位を取得することを目標として、丁寧な指導を行っています。2021年度までの進学者は、全員が博士の学位を取得しています。 これまでに学位を取得した大学院生の博士論文は、以下の通りです。

濱口 雄太 令和4年度修了 博士(学術)
博士論文「ベイズ流メタアナリシスにおける予測区間の評価と影響力解析
青木 誠 令和3年度修了 博士(統計科学)
博士論文「国際共同治験における外れ値となる地域の検出と影響力診断の方法
伊庭 克拓 令和3年度修了 博士(統計科学)
博士論文「多変量臨床予測モデルにおけるリサンプリング法に基づく内的検証法の評価研究
小島 将裕 令和3年度修了 博士(統計科学)
博士論文「モデル補助デザインを適用したがん第Ⅰ相用量探索試験の早期完了に関する研究
中村 理恵 令和3年度修了 博士(統計科学)
博士論文「中高年女性の将来のシワ状態を予測する統計モデルの開発と検証に関する研究
松嶋 優貴 令和2年度修了 博士(統計科学)
博士論文「診断法のメタアナリシスにおける極端なプロファイルをもつ研究の検出と影響力の評価
右京 芳文 令和1年度修了 博士(統計科学)
博士論文「欠測を伴う経時的測定データに対するMMRM (Mixed-effects Model Repeated Measures) における小標本下での推測手法

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所 The Institute of Statistical Mathematics

〒190-8562 東京都立川市緑町10-3 統計数理研究所
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