統計数理研究所(広尾)講堂
2007年 11月26日〜11月28日
伊庭幸人 末谷大道 青柳富誌生 田口善弘 小松崎民樹
過去半世紀の非線形科学の展開は著しい.また,統計物理など,非線形・非ガウスの現象を扱う物理学の諸部門も大きく発展したといえる. しかしながら,その大半は順問題のレベルに留まっており,現実のデータからの帰納的な情報抽出という視点からは十分とはいえない面がある. このことは,今世紀に入ってから,脳やゲノムに興味を持つ非線形科学の研究者の中でも大きな問題となっており, 統計学や機械学習への関心や期待が高まっている.特に,最近話題となっているBCI(Brain Computer Interface)の研究は, 脳研究者の間に統計的逆問題への興味を新たに呼び起こしている.
一方,統計科学の側では,非線形時系列解析やニューラルネットなどの諸手法が非線形現象の研究に用いられ,成果をあげてきたが, 非線形・非ガウスの多彩な現象や非線形科学の問題意識の理解という点では十分とはいえないように感じられる.一般に, 非線形現象の研究者は定性的な理解の目的で作られたモデルのパラメータをデータ解析によって決定することを求める傾向が強く, 統計科学の研究者は汎用の手法によって高い予測能力を得るという点に注力しがちであり,両者のギャップを埋めることは容易ではない.
本研究会ではこうした問題意識に基づき,カーネル法や各種の多変量解析の手法を横糸に,BCI,流体力学,複雑な系のランドスケープ解析, ゲノム時系列など,さまざまな例を縦糸として,ふたつの異なる問題意識がどのように交叉し得るかを論じたい.
13:00--13:50
肥後順一(大阪大学 MEI センター)
「シミュレーションでみられるタンパク質の
振る舞い・ダイナミクスの表現と解析」
13:50--14:40
小松崎民樹(北海道大学電子科学研究所&JST/CREST)
「1分子時系列情報から我々は何を学び取ることができるか?」
15:00-15:50
下川英敏
(JST ERATO 合原プロジェクト/東京大学生産技術研究所)
「圧縮アルゴリズムを用いたデータの複雑度や類似度の推定とその応用」
15:50-16:40
青柳富誌生(京都大学情報学研究科)
「振動子ネットワークの秩序形成に最適な構造の探索」
【17時までに完全に撤収する】
10:30--10:50
伊庭幸人(情報・システム研究機構 統計数理研究所)
「Opening Remarkにかえて:趣旨説明と問題提起」
10:50--11:40
田口善弘(中央大学理工学部物理学科)
「非計量多次元尺度構成法とその生体生命情報解析への応用」
11:40--12:30
池口徹(埼玉大学 大学院 理工学研究科 数理電子情報部門)
「非線形時系列解析とサロゲートデータ法」
13:50--14:40
伊藤浩之(京都産業大学工学部情報通信工学科)
「ブートストラップ手法によるスパイク相関の有意性検定」
14:40--15:30
下川丈明(京都大学理学研究科)
「ベイズ統計を用いたスパイク発火特性の抽出」
16:00--16:50
中江健(京都大学情報学研究科)
「統計的手法を用いたニューロンの同期特性の計測」
16:50--17:40
川合成治(総合研究大学院大学・統計科学専攻)
「Hodgkin Huxleyモデルにおけるモデルパラメータと
外部入力電流の同時推定」
17:40--18:30
福水健次(情報・システム研究機構 統計数理研究所)
「カーネル法による因果ネットワークの学習」
【19時ごろから懇親会】
# 前日と開始時間が違います
11:00--11:50
福島孝治 (東京大学大学院総合文化研究科)
「スピングラス状態の多谷状態の解析について」
12:50--13:40
末谷大道(JST ERATO合原プロジェクト/東京大学生産技術研究所)
「位相変数に基づくカオスの表現とその解析」
13:40--14:30
伊庭幸人(情報・システム研究機構 統計数理研究所)
「カーネル法によるマルコフ連鎖の遷移行列の固有値解析」