``記述''をめぐる問題
-- 哲学, 統計学, 情報理論, 認知科学の境界領域 --
統計数理研究所 伊庭幸人
記述一般にまつわる問題を統計学の考え方と結びつけて解説する。
また、科学一般で使われる記述の枠組としてどういうものがある
かという考察を通じて、自然言語の研究の認知科学における位置
についても考えてみたい。一般的なことからはじめてだんだん自
然言語に接近するという方針で話すが、時間の制限から、前半に
重点をおくことになると思う。具体的内容は以下の通りである。
- 記述に関する諸問題を紹介し、それらが互いに無関係でない
ことを強調する。
- モデルの当てはめにおけるoverfittingの問題
- 学習におけるgeneralizationの問題
- 乱数に関する問題
- 複雑さの測定に関する問題
- 量子モンテカルロにおける負符号問題
- こうした問題への統計学、情報理論の立場からの
接近について論じる。とくに、情報量規準AICの定式化
と導出について述べる。また、それ以外の立場(MDL,CV)
についても簡単に紹介する。
- 具体的な記述法のなかでの``自然言語''の位置。
``幾何学的世界像とその限界''という立場から、非幾何学的な
ものの探求として自然言語、味や匂い(化学感覚)などの研究を
位置づける。
-
時間が許せば、自然言語そのものについて、
人と議論して思ったこと、知りたいこと、などを話す。