| 統計科学専攻について |
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| 統計科学専攻長 柏木 宣久 |
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| 先端的な計測技術やインターネットを通じて世の中では時々刻々と大量のデータが生み出されています。遺伝子、脳、地球環境、気象・海洋、天文・宇宙、金融・経済、医学・生物、社会・市場調査、物流・交通等ありとあらゆる分野において膨大なデータが取得・蓄積されています。これらのデータを解析し、「有効な知識の抽出」と「適切な現象の予測」を通じて「世界をより良く理解」し、「潜在的なリスクを回避」し、そして「複雑な大規模システムの適切で効率的な運用」を行うことは、21世紀の人類の行方を左右することすらありうる重要な課題です。 |
| 統計科学は、この課題について総合的に研究し、人類や社会に貢献することを大きなミッションとする学問です。この目的に向けて、既存の統計学に留まらず、多くの学問分野が協力しています。機械学習、画像・信号処理、データマイニング、情報理論、制御理論、計算アルゴリズム、データベース、自然言語処理、OR、マーケティング、生命科学、天文学、宇宙論、金融工学、経済学、医学、疫学、薬学、品質管理、文献学等、データやモデルを扱う方法論を研究する分野や現代的なデータの解析を必要とする分野は枚挙に暇がありません。これらの分野の中から標記のミッションのためのすべてのものを取り込み、有機的に結合したもの総体が「統計科学」であるといって良いでしょう。 |
| このように、統計科学はデータに対峙する諸分野との共同作業を遂行しつつデータを扱う方法論を追求する、万人に開かれた学問です。その研究および成果の射程は、さらに、人間の行う高度なパターン認識や知的情報処理をモデルとし、機能を絞り込むことによって部分的には人間を超えることを目指した「究極のロボットや人工知能」を実現することまでをも見据えています。 |
| 総合研究大学院大学統計科学専攻は、我が国唯一の統計科学に関する専門の大学院です。本専攻は、修士修了レベルの学生・社会人を対象として3年間で学位を取得する後期3年の課程と学部修了レベルの学生・社会人を対象として5年間で学位を取得する5年の課程の2つのコースから成ります。統計科学の多様性を反映し、これまで、統計学はもちろんのこと、生命科学、情報科学、物理学、工学、社会科学諸分野等、幅広い分野を背景とする学生が入学し、学位取得後、学術や社会の様々な分野で活躍しています。 |
| 本専攻の基盤機関である統計数理研究所は、赤池弘次元所長(本専攻初代専攻長)による世界の知的情報処理分野に一大画期をもたらした偉業「情報量規準AIC」の導入を契機として、新しい統計科学パラダイムの発信地となりました。そして、分子進化学、地震データ解析をはじめとする種々の分野で標準的に用いられる重要な統計モデルを提案・実用化し、世界をリードしてまいりました。その他、時空間モデリング、機械学習、基礎数理や計算アルゴリズムなど方法論の分野でも「粒子フィルタ」をはじめとする国際的な研究成果を挙げ、社会調査の分野では、50年の歴史を誇る「国民性調査」を継続し、特色ある独自の日本人論を展開してきております。これらの研究成果は「実際の現場から問題を発見し、その解決を通じて普遍的に役に立つ方法論を展開する」という、研究所の良き伝統を通じて達成されてきたものです。そして、現在も様々な分野の研究者が集い積極的に研究交流を行い、数理・情報・データ・モデリングの研究者が交わりあう場として、世界的に見てもユニークな研究センターとしての機能を果たしています。 |
| これら統計数理研究所の活動のすべてが統計科学専攻における研究・教育に反映していることはいうまでもありません。研究所が育んできた「現場重視」の文化と「多様性」は、素晴らしいデータや問題との出会い、そして、素晴らしい教員や仲間たちとの出会いを用意しています。ここで学んだことは、一生の宝となることでしょう。 |
| 既存の学問分野にこだわらず、新しい学問分野としての統計科学を創出し、21世紀の人類・社会に貢献することを自らの人生の一つの大きな目標としたいという高い志と広大な野心を持った皆さんが、我々の仲間に加わらんことを切に希望いたします。 |