2015年 公開講演会

■ダウンロード

講演会ポスター(PDF)

■リンク

過去の公開講演会の概要
ISMイベント案内一覧

例年、教育・文化週間(11月1日~7日)関連行事の一つとして公開講演会を開催しております。 この講演会では、一般の方を対象に、統計数理に関連したテーマをわかりやすくお話しします。

変わる変わらない

~調査から見る日本人の国民性・意識・格差~

日時: 2015年11月5日(木) 午後1:30~4:30
開場: 午後1:00
場所:

統計数理研究所 大会議室
会場への交通アクセス

登録不要・参加費無料
 * 会場の収容人数(約160名)を越えた場合は、入場を制限させていただきます。

講演プログラム

中村 隆 (統計数理研究所 教授)

変わる日本人の国民性 ~コウホート分析から見る戦後社会の変化~


 統計数理研究所は,戦後間もない昭和28年(1953年)から5年ごとに「日本人の国民性調査」を実施しています.60年目にあたる一昨年の平成25年(2013年)秋には第13次全国調査を実施しました.その結果発表を昨年10月30日に行い,翌日の全国紙・地方紙朝刊の紙面を飾りました.
 "国民性"と聞くと,昔からずっと変わらない,日本人大多数の意見や意識あるいは態度を想起するかもしれませんが,第1次調査から60年以上が経過し,この間戦後日本の大きな社会変動があり,「国民性調査」の結果に日本人の大多数の支持の変わらない項目・回答を見つけることの方が難しくなっています.現在の「国民性調査」は,開始当初の"国民性"という関心を拡げて,"日本人のものの見方や考え方"がどのように変化してきているかを捉える継続調査となっています.
 本講演では,継続調査データの変動から年齢・時代・世代効果を分離するコウホート分析という統計的方法を使って「国民性調査」のデータを分析した結果に基づいて,戦後日本社会の人々のものの見方や考え方の変化について紹介します.

講演スライド(pdf)
荒牧 央 (NHK放送文化研究所 上級研究員)

人びとの意識はどう変わったか ~40年の動きをたどる~


 時代が変わり社会が変わると,世の中の人びとの意識も変化するのでしょうか.あるいは,どんなに時代が変わっても変わらない意識があるのでしょうか.NHKでは1973年から5年ごとに「日本人の意識」調査を実施し,同じ質問,同じ調査方法で,社会や経済,政治,生活などに関する日本人の意識の長期的な移り変わりを追っています.いわば意識の定点観測のような調査です.
 第1回の調査を行った1973年は,第1次オイルショックによって高度経済成長が終わりを迎えた年でした.以降40年にわたる調査を通して,多くの領域で人びとの意識が変化してきたことが明らかになっています.その中から家族や男女関係についての考え方など,大きく変化した意識を紹介するとともに,その変化がそのときの時代状況を反映したものなのか,世代交代の影響によるものなのかについてもみていきます.

講演スライド(pdf)
吉川 徹 (大阪大学 教授/統計数理研究所 客員教授)

格差をめぐる社会意識の変化 ~昭和期から平成期にかけての静かな変容~


 かつて日本には総中流といわれた時代がありました.しかし現在はこれに代わり格差社会や貧困がさかんにいわれています.政治や文化についてみると,社会のどの位置にいる人が,どのような考えからどんな社会的行動をとるのかを見通しにくくなったことが指摘されています.
 この現代日本を舞台とした時代変化を詳しく分析するために,わたしたちは階層(社会的な立場の上下)と社会意識(ものの見方や考え方)の関係に実証的に取りくむ包括的な研究者組織を立ち上げました.それがSSP (Stratification and Social Psychology)プロジェクトです.2011年に開始されたこのプロジェクトでは,統計数理研究所を拠点のひとつにして,階層と社会意識の関係をみるいくつかの調査を実施してきました.
 本講演では,現代日本人の「社会の心」がどのような時代変化を経てきたのかを,1980年代と2010年代の調査データの比較分析の結果から論じていきます.

講演スライド(pdf)

 

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所
〒190-8562 立川市緑町10-3 Tel:050-5533-8500(代)