[ 2009716 公表 ]

1. 低迷を続ける「日本経済への評価」

 過去20年間の日本人の意識で最も顕著な変化は、1993年から1998年の間に起きた「社会に対する悲観的な見方」の急速な浸透であり、それは日本人の「自信喪失」ともいえる現象であった。
 例えば日本の「経済力」(#9.12c)を"非常によい”あるいは"ややよい”とする人の割合は、1993年の79%から1998年の32%へと激減し、日本の「生活水準」(#9.12d)については74%(1993年)から53%(1998年)へと急落している。今回の第12次調査においても、「経済力」は37%、「生活水準」は49%となっており、「経済力」への評価は回復の兆しを見せているものの、総じてこの10年から15年間の状況を脱して以前の高い水準に戻したとは言い難い。
 自分の生活水準がこの10年間で"よくなった”あるいは"ややよくなった”(#7.30a)人は21%と、前回2003年の第11次調査の20%と同水準にとどまっており、社会に“満足”あるいは"やや満足”(#2.3d)という人も30%と、2003年と同水準になっている(図1)。
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図1 日本の社会経済状況に関する悲観的な評価

 こうした社会状況の中では、社会の将来についても明るい展望は持ちにくい(図2)。この先ひとびとの“心のやすらかさがへる”(#7.18b)と考える人は過去10年間ずっと7割近くを数え、“人間の自由がへる”(#7.18c)と考える人は5ポイント増えて40%となった。ひとびとの生活が今後“豊かになる”(#7.18d)という人は2003年の14%からさらに減って11%と過去最低となり、逆に“貧しく”なるという人は2003年の47%から過去最高の57%へと増加した。
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図2 社会の将来を悲観的に展望する意見の推移

"ひとびとは不幸になる”という悲観的な将来展望を1/4程度の人は持ち続け、過去10年減少傾向だとはいえ、未だ5割を超える人が"ひとびとの健康面は悪くなる”と予想している。