統計数理研究所

神経科学と統計科学の対話

日時
2010年12月19日(日)〜20日(月)
場所
統計数理研究所 3F 第5セミナー室 (D312/314)
東京都立川市(最寄り駅・多摩モノレール高松)

こちらからも詳細がご覧いただけます.

所員などIDカードをお持ちの方以外で19日(日)に参加される方は
伊庭(iba@ism.ac.jp) まで事前にご連絡ください.休日のため入館に制限があります.

20日に参加される方は,周辺には昼食をとれる施設がほとんどないのでご留意ください.

プログラム

◆12月19日(日)◆

13:00-13:15
伊庭幸人(統数研) オープニング

13:15-14:45
伊藤 浩之(京産大)
「多細胞データの解析による神経活動の非定常性、変動性」

篠本 滋(京大)
「非定常スパイク時系列の構造分析」

岡田 真人 (東大新領域)
「マルコフランダムフィールドモデルによる神経パルスとEEG解析」

(30分休憩)

15:15-16:45
小山 慎介(統数研)
「スパイクパターンに乗る情報の抽出」

大森 敏明 (東大新領域)
「樹状突起膜電位の時空間ダイナミクスを統計的に推定する」

坪 泰宏
「神経細胞の動的膜特性の多様性」

(30分休憩)

17:15-17:45
石井 信 (京大)
「不確実環境でのヒト意思決定過程のモデリング」

17:45-18:30
飛び入り・自己紹介用フリータイム(合計45分,3〜5人可能)

19:00-
懇親会


◆12月20日(月)◆

10:00-12:00
山下 宙人(ATR)
「スパース推定のブレイン・マシン・インタフェースへの応用」

末谷 大道(鹿児島大)
「カーネル法による脳-身体ダイナミクスの解析」

片平 健太郎 (JST ERATO 岡ノ谷プロジェクト)
「小鳥の複雑な歌系列を説明する確率モデルとその神経表象の検討」

青西 亨(東工大)
「ショウジョウバエ幼虫の走化性行動の統計的解析」

(1時間休憩;昼食は持参)

13:00-14:30
太田 桂輔 (理研)
「ベイズ理論に基づく海馬CA1錐体細胞の位相応答曲線の統計的推定」

中江 健 (総研大・統計科学)
「データ変換を利用した位相応答曲線の統計的推定」

太田 絵一郎 (京大情報)
「揺らぎ刺激の重み付き平均による位相感受性の測定」

(45分休憩)

15:15-17:15
大羽 成征(京大)
「拡散MRI画像に基づくコネクトミクス研究について」

下川 丈明(ATR)
「近赤外分光計測による脳活動源推定」

三分一 史和 (統数研)
「脳・神経データの時空間解析」

Jorge Bosch Bayard (Cuban Neuroscience Center, Cuba)
「SPATIO-TEMPORAL CORRELATIONS FROM fMRI TIME SERIES BASED ON THE NN-ARx MODEL」

趣旨説明

神経科学・脳科学への統計科学の応用は近年ますます重要なテーマとなっている. 「流行」としての脳研究がゲノムブームに取って替わられた感がある一方で, 多電極や光学的手法によるマルチニューロ測定の技術は成熟し, 多量の実験データが生成されつつある. また,脳の情報をデコードして読み取り,機械やロボットを制御する脳・計算機インターフェース(BCI)の流行は, ともすれば順問題のシミュレーションや数理的解析に偏しがちであった脳理論の研究者に, データ解析・統計的逆問題という視点の重要性をあらためて意識させる効果があった.

脳科学の側面から,今後重要となる可能性のあるテーマとしては,
(1)非定常性の扱い
(2)位相やタイミングの情報の扱い
(3)多数のニューロンを含んだデータの解析
(4) ニューロンの個性の分類や個性を考えたデータ処理
などがある.

これに対し,統計的モデリングの側からは
(1)ベイズ的手法や状態空間モデルの導入
(2)カーネル法をはじめとする高次元データの非線形性を捉える手法の導入
(3)因果解析やスパース回帰を利用したネットワーク推定手法の導入
などが重要と思われる.

本研究会では,こうしたテーマに興味のある研究者が集まって交流し, あらたな分野の展望をひらくことを目的とする.

統計科学の役割は,脳科学からの既存の要求に応えること,あるいは, 便利なソフトウェアや部分的な数理を提供することだけではないと考えたい. 統計的手法論のそれぞれに,思想や得意分野があり, それらが神経科学の側の思想や内容と共鳴して互いに変わっていく,という関係が望ましい. そうした方向をめざす一歩となる研究会にしたいと考えている.

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