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1957(昭和32)年


●計算機の構成

 さきに継電器式自動計算機(FACOM - 415 A)により、平均、標準偏差、相関係数などの計算の能率化をはかったが、こんどは同じく富士通信機製造株式会社により、継電器式万能自動計算機(FACOM - 128)を製作した。この計算機に使用したリレーは約4,700個である。

機能、構造:

 数値はすべて移動小数点方式(10進法)で表わし、桁数は8桁×10の±19乗までの範囲の数値を取扱うことが出来る。入力はテープ、あるいは操作台より、出力は印刷機と穿孔機により行われる。
 記憶装置には、一般記憶装置(クロスバー機構式,120組)特殊記憶装置(リレー式,18組)、常数記憶装置(リレー式,43組)、テープ記憶装置(72単位穿孔機,2台)の4種類がある。
 また命令読取機4台(内カード式,2台)、数値読取機2台テープ作成台に穿孔機、読取機各1台、及び操作台と印刷機(60 桁同時印刷)より成る。
 使用頻度の高い計算(例えばベクトル内積、多元連立一次方程式等)の手順は、リレー式組込み命令装置として、31組が計算機に内蔵されていて、呼出し命令によって簡単に使用出来るようになっている。
 なお、これに下で述べる乱数作成機が接続されて、乱数を随時供給できるようにもしてある。

計算の種類:

 多元連立一次方程式、微積分方程式、高次代数方程式、補間、任意函数の近似展開等、あらゆる種類にわたる。特にベクトル算、マトリックス算を含む計算に便利なように設計してある。

計算の処理速度の一例:

  <種  類>           <計算方式>               <データの数> <所要時間>

連立一次方程式          逐次近似法                    20元          3時間

    〃                  消  去  法                    20元          3時間
  
逆  行  列              消  去  法                      9元          35分

    〃                  分割消去法                      9元          20分

    〃                  消  去  法                      5元      3分40秒

累  積  和                                          10万個        40時間

コレログラム            n=180                    10個          25分

Queueing Process   手空き、待、出発時間、gate1    n =250             6分

特  有  根         HX = λFX  最大根1つと特有
                        ベクトル                        8元  1.5〜2時間
 そのほか、放射能を利用した乱数作成機が第3研究部・第1研究室により創案製作された。これは FACOM - 128 に接続することができ、モンテカルロ法などに便利なように細工されている。


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